白山・岩屋俣谷・井谷で沢登り

 

8月15日(火)晴れのち曇り 16日(水)晴れ
白山市ノ瀬→岩屋俣谷→井谷→別山→チブリ尾根→白山市ノ瀬 (渓中泊)
Y・T氏 ちち
後半は冷や汗と大汗の連続。 久しぶりに緊張した沢登りだった。

 

 15日 朝6:00、いつもの待ち合わせ場所に集合して、一路白山の登山基地である白山市ノ瀬を目指す。今回の参加者は2人、T氏とおいらだけ。今年の夏のメインイベントは黒部川・上の廊下に行こうと計画していたのだが、メンバーの都合がかみ合わず、日にちもあまり多くとれないで計画はボツ!。ならば、数週間前に溯行を計画していたこの谷のリベンジ戦だ!この時は親戚の叔父さんの不幸が重なりおいらは急きょ不参加、市ノ瀬まで行ったメンバーは豪雨による増水で渓流シューズを履く事も無く退敗し、雨の中でのキャンプと酒と温泉三昧で帰ってきたらしい。
 予定通り11:30市ノ瀬に到着.。雨の心配は無さそうだが白山山頂辺りは雲がかかっている様だ。駐車場にて途中で買ったお弁当を食べながら溯行準備を整える。
 11:46市ノ瀬を出発しチブリ尾根に向かう工事用の車道をしばらく歩き、岩屋俣谷分岐の看板を右に行くといきなりでっかい堰堤にぶつかる。「溯行一番に堰堤の高巻きかよ!!」と怒りながら巻くと上にはまた分岐前の工事用車道の続きが・・・そのまま車道を歩き、3つめの堰堤のはしごを使って12:15に入渓。
 しばらくすると前方に大岩が3つ、そのうちのひとつは岩というよりもほとんど壁だ。岩を乗っこし淵をへつって大岩を越える。その後は飽きるくらいの長いゴーロ歩きだった。
 1:25 別山谷との二俣を右へ井谷へ入る。まだしばらくの河原歩きと滝ともつかない1〜2m位の小滝を黙々と遡る。


30m4段

 14:07 美しい30m4段の滝が現れる。ルート検索するT氏の足元を優々と20cmはある岩魚が泳いでいるではないか。今夜の酒の肴は岩魚かな? この滝は直登は難しく右の草付きズルズルのヤバイ斜面を冷や汗をかきながら巻いて藪を分け落ち口に立つ。これから先は谷に少し変化が出てきて12mの直瀑や6m斜瀑を難なく越える。


12mを登る

 

 

 
今夜のお宿と貸切り宴会場

 テン場に適当な場所を見つけてビバークの準備。雲がかなり低く50mほどすぐ上はガスがかかっている。ツェルトを張って薪拾いをした後、夕食の材料を仕入れに行く。今夜のメニューは岩魚の刺身に塩焼きとバターのホイル蒸し!岩魚料理のフルコース!といきたいところだが漁師の腕が悪く結局坊主、丸坊主である (^^; 仕方なく、レトルトのカレーライスと鮭の切り身をバターでホイル蒸しにして宴会モードに入る。坊主は完全に予想してあったのだ。
 この辺りにもガスが下りてきて細かい雨がポツリポツリと降り出した。天気予報では雨の心配は無さそうだったのに・・・ 雨具を着て焚き火の前で酒を飲みながら雑談をする2人。日没し辺りが真っ暗になり焚き火とキャンドルランタンの明かりが良い雰囲気を作り始めた頃、空が急に晴れだして星が見えてきた。谷の下流方面には夕焼けが綺麗に見えた。雑談の後は隠し持ったハーモニカも飛び出して宴会はまだまだ続く。

 


二条の滝 右を直登する

 16日 朝5:00に目覚める。足元に大きな岩があり少し変な体勢だったので身体がギクシャクするが、ぐっすり寝れた。健康の秘訣は快眠・快食・快便である。熱いラーメンをすすって身体を温め、テン場を全て元の自然のままに戻して6:00に出発する。

 


20m数段の滝

 2日目の溯行は昨日の河原歩きとは打って変わり、変化に富んだ滝が次々と出てくる。食料や酒の減ったザックはかなり軽くなった。そして空は真っ青。谷の底から見る範囲には雲はひとつも見えない晴天の中、直登出来る滝、右や左をフリーで登る滝は実に楽しい。しかし、こんな滝ばかりならよいが、時々草付きズルズルの斜面を高巻かなけりゃならない滝が出てくる。「絶対に抜けないでね!お願いだから」と優しく願いながら、根強く茂った草を選びまとめて掴んで登っては横切る。ズルッと滑って落ちたらこの世とはサヨナラよ!っていうような高巻きが4〜5回はあっただろうか。自分が高所恐怖症でなくて良かったと思う瞬間である。もっともそんな人はこんな所へは来るはずもないが・・・ 煙と何やらは高いところが好き?

 


V字に切れ込んだ谷間の奥に10m斜瀑が見える

8時を過ぎると谷の中にも朝日が差し込んできた。滑滝がキラキラと光ってすごく綺麗だ。ここでちょっと大休止。お日様の光りで甲羅干して熱いコーヒーを入れる。ウマイ!

 


二俣手前で雪渓が現れる

 北側の山陰になる場所に雪渓が現れた。さすが豪雪地帯だな〜と感心する。そしてこの後すぐの二俣に出て本流を覗く所に立つと奥の方に2筋の滝が見える。遠目に見てもまた草付きの高巻きは避けられそうに無い。それに少し手前のV字の谷底は雪渓で埋まっている様にも見える。「またズルズル冷や汗の高巻きかよ〜」2人共、思わず声が出る・・・
 ここで地形図と高度計のにらめっこ。二俣を左に入れば、支流を直登して吹向尾根の稜線上に出る。そこからは尾根伝いに藪漕ぎは避けられないだろうが三ノ峰と別山の間の登山道には出るはずだ。満場一致で吹向尾根に向かう細い谷をつめることにする。
 谷をつめ始めてから約30分。ニッコウキスゲが咲くお花畑の稜線に出た。ここからさらに40分、尾根上の背丈より高い笹や松を漕ぎ、今度はかなりヤバイ笹の斜面やガレ場をトラバースし、またまたひどい藪を漕ぎ、11:16やっと稜線上の高速道路(一般登山道)に出た。ガサガサと藪の中から出てくるものだから若いソロの登山者がびっくりしていた(笑)。
 ここから一気に別山へと向かい、「下山したら温泉に入って冷たいビールを飲むぞ〜」と高速道路を飛ばそうとするが、谷の中と藪漕ぎで体力と気力を使い果たし、全く足が上がらない・・・
 12:25 バテバテで何とか別山山頂(2399.4m)に着く。白山の大展望である。室堂から上はガスが掛かっているので残念だが平年より多い残雪はしっかり見える。砂防新道、観光新道などメジャーな登山道が一望できるし釈迦岳もバッチリ見えている。雄大な山容の展望に感動しながら大休止。T氏は寝ている。
 別山を後にし、延々と下るチブリ尾根を3時間半かけて16:26市ノ瀬に到着。お疲れさまでした。
 白山温泉 永井旅館で汗を流し(600円)、冷たいビールを一気に飲む!至福の時である(^^V

 心配したお盆の帰省ラッシュにもつかまらず予定通りに丹後に帰ってきたと思ったら、16日は宮津の灯篭流し。丁度花火大会が終わった時間で宮津市内で渋滞につかまり30分のロスタイムでいつもの場所に無事到着する。

 

後日記

藪漕ぎでやられたのだろう。 顔面、首筋、両腕が赤くかぶれて痒い!!