大江山(鳩ヶ峰)

 

1月19日(金)くもり時々晴れ
大江山の家→千丈ヶ原→コルの小屋→鳩ヶ峰(往復)
ちち
21世紀始めの一歩は19世紀のスタイルで!

 

 ついに21世紀に突入した。今世紀最初の記念すべき山行は何処に行こうかと考えていたが、ここ数日の大雪で北近畿のどの山に行っても積雪が望めそうなので、やっぱりテレマークスキー山行に決まり。では何処へ・・ ん〜、テレマークスキーは19世紀に生まれたスキー技術(注1)、そのスタイルで20世紀に生まれたオイラが行く21世紀始めの一歩。こうなればやっぱり行き先は決まってくるでしょう! おらが故郷心の山”大江山”だ!この地に生まれてから毎日のように見ている大江山連山(途中数年のブランクはありますが)、中でもオイラ的に一番好きなのが鳩ヶ峰だ。ど派手な座標?(注2)も無く、千丈ヶ嶽や鍋塚のピークが昼食や大休止などの人達で賑やかなときでも、ここのピークだけは比較的静かで、なによりも眼下に見下ろす加悦谷と、天気の良い日は丹後 丹波 但馬の多くの山々を呼指出来る360度何もさえぎる物のない絶景。そして積雪期にはピークから適度な傾斜の斜面でスキーが楽しめる。アプローチも比較的楽なのでここに決定!

 

小学校のグランドから大江山を写す

 ということで休日となった今日、スキー用具一式をジムニーに詰めこみ出発する。その前に、偶然だが今日は子供達の学校の参観日なので小学校に寄る。
 まずは2年生のまさの授業参観。科目は「生活」。コンピュータールームのパソコンで絵を書く授業である。みんな生き生きした目でPCで遊んでいる。
 次ぎは5年生のちーの授業参観。科目は理科で地球の誕生と生物の誕生。さすが高学年、活発に意見がでていた。
 オイラが子供だった頃と何も変わらない大江山を、母校のグランドから見る。

 車を走らせ11時少し前に大江町の大江山の家に着く。普通ならここから千丈ヶ原まで除雪した車道を車で行けるのだが、今日はちょっと勝手が違うようだ。除雪こそしてあるものの昨日今日車が通った形跡は無く、その上今朝までに降った5cmくらいの新雪と、その下の少しのザラメ雪で車は一向に真っ直ぐ前に進まず、ヨロヨロと側溝のほうに寄って行く(オー怖い!!)一番タチが悪い路面だ。このジムニーは一年中下駄山タイヤ・・ それもツルに近いので最低だ。やっぱ新しいタイヤが欲しいよ〜。 以前タイヤをBSのジープサービス(注3)にしようと考え見積りを取ったものの予想よりかなり高くそのままになっているのである。こんなとこで時間を食っても仕方ないので大江山の家の駐車場の端っこに停めさせていただき11時05分にここから出発する。

 

11時36分 千丈ヶ池と鳩ヶ峰(奥の白いピーク)

 積雪した車道をシール(注4)を貼って進む。車道の右下の渓流から聞こえる水の音が大きくなってくると千丈ヶ滝のすぐそばである。この季節は藪が少ないのでここからでも雑木の間から少しだけその姿を覗き見る事が出来た。
 谷底の渓流が千丈ヶ滝で一気に高度を上げて、その流れを眺めながら進みしばらくすると千丈ヶ池がある。川をせき止めた人工池だ。ここから今日の目的の鳩ヶ峰が見える。雪の付きは余り良くないようでブッシュが見えているが、「まあ南斜面はだめでも東斜面があるさ!」と気を落とさずに先に進む。

 

千丈ヶ原

 11時51分 計画時の出発点である千丈ヶ原の鍋塚登山口に到着。ここで小休止。いつもここで迷うのだが右の登山道を行こうか、このままクロカン気分で車道を行こうか・・・ 今日は右の登山道を行くことにする。雪が少ない時は登山道の岩が所々露出していたりするので車道を行ったほうが良い場合もあるが、今日は何の気遣いもなく進める。こっちに来て正解だった。時々、イタチ?と兎の足跡が登山道を横切る。
 12時20分 再び雪に埋もれた車道に出て、つづら折れをショートカットして12時51分 車道終点の小屋に到着。ここで簡単に昼食を済ませ鳩ヶ峰を目指す。ここまでくれば山頂はすぐそこだ。

 

鳩ヶ峰への最後の登り

 雪に埋まった登山道に沿って鳩ヶ峰に向かう。さすがにこの季節、稜線に出ると風がすごい!急いでオーバージャケットを着て手袋もフリースから登山用冬物に替える。「オー!寒〜い!」。エビのシッポも出来てるぞ!。
 下りはパフパフのパウダースノーを・・・ って、そんなに良い新雪ではなく、この辺り特有の湿気を含んだ重ーい雪だけれど、そして短い斜面だけれど、やはり新雪の斜面はもったいないので出来るだけ端っこを登る。
 振り返るとそこにお椀を伏せたような形の鍋塚が見える。鍋塚もこの季節はスキーに最適の雪面が現れるが、今日の南斜面はブッシュだらけでスキーは楽しめそうにない。もう1〜2回大雪が降れば鳩鍋ツアー(注5)が楽しめるだろう。

 

鳩ヶ峰山頂から加悦谷を見下ろす

 13時46分 鳩ヶ峰山頂に立つ。風下の南斜面で展望を楽しみながら休憩してると、「パーン」と遠くの方で鉄砲のような音が数回辺りに響く。もしそうなら頼むからこっちに来ないでくれよ〜。何年前だったかテレマークを始めたばかりの頃、この時期に双峰から千丈ヶ嶽へ登った時のこと。鉄砲を持ったおじさん数人に出会い、「兄さん!道以外は歩くなよ!」って言われたことがある。歩きませんとも!絶対に!!

 

東斜面を快適に滑る

 もう少し雪が多ければ南側の斜面が面白いのだが、今日はブッシュが出て、滑ってもほんの数メートルを1回のターンで終わる距離なのでそちら側はやめておく。東の登ってきた斜面を数回滑っては登り、今世紀初のテレマークターンを決める。
 小屋付近の北側に、傾斜で言うと35°位だろうか、ちょっとした急斜面をそこそこ楽しめる場所がある。登りにチェックしておいたけれど今日もバッチリ雪が付いている。登山道を少し登った所から飛び出し今日の核心を終える。
 帰りは来た道をそのまま滑り降りる。途中、つづら折れの車道の土手をショートカットして降りたのだが、3ターン目で突然足元がフワッと中に浮かび、そのままズルズルとずり落ちて下の車道に着地する。1mくらいの岩場をずり落ちてしまった。ここだけ”アップ”で見るとエクストリームスキーみたいだゾ!!(笑)
 自分の足跡をたどって滑り降り(車道ではストックで漕がないと止まってしまうけど・・)15時ちょうどに駐車場に着く。

 

注1
テレマークスキー
19世紀後半、北欧ノルウェーのテレマーク地方でその技術が確立されたが、その後スキー技術はアルペンスタイルに取って代わられた。歩いて滑れるスキーなのでバックカントリー(ゲレンデ以外の野山)に出るのには最適のスキースタイルであるが、やってる人はまだまだ少ない。
注2
ド派手な座標?
「これでもか!」とでも言いたげなデカイ座標で千丈ヶ嶽、鍋塚、赤石岳の山頂にそそり立っている。メニューの大江山の見える部屋から大江山ギャラリーを参照
注3
ジープサービス
世界のタイヤメーカー、ブリヂストンが販売している4輪駆動車用タイヤ。その名の通りジープ用に開発された?知る人ぞ知る超マニアックなこのタイヤは、バイアス構造でその独特なパターンにより決して一般向けではない。
注4
シール
スキーの滑走面に貼りつけることによりかなり急な斜面も登る事が出来るため、バックカントリースキーには必需品の一品。その昔はアザラシの皮で作られたらしい。脱着が面倒臭いのがたまにキズ。
注5
鳩鍋ツアー
本場丹後へ取れたての松葉ガニを食べ行くカニ鍋ツアーの仲間ではない。鳩鍋ツアーとは千丈ヶ原を起点にこの山域でバックカントリースキーに最適な鳩ヶ峰と鍋塚を結ぶツアーコースである。